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「一昨日君が提出したこの書類!一体何なんだこれは!」
上司である入間坂赳夫(いるまざか たけお)に有子は呼びつけられた。
「ミスが多すぎるんだよ!真面目に仕事をやってるのか君は!」
「すみません…」
「すみませんじゃないよ!一体どういう気持ちで仕事してんだ君は!」
「…すみません」
「何だねさっきからすみませんすみませんって!本当にそう思ってるのか!」
「…はい」
「そうやって潮らしくしてれば、許してもらえるとでも思ってたのか!全くこれだから女ってやつは!」
「…」
「もういいよ!さっさと仕事しろ!早く戻れ!」
「申し訳ありませんでした…。」
「君みたいな奴が徴兵されてくれればこの会社も少しは楽になるのに…」
彼は入間坂赳夫。このようにしていつも有子を呼びつけては怒鳴ったり、嫌みを吐き捨てたりする奴だ。もちろん有子は彼のことを厄介者に思っていた。彼も有子にとって会社を辞めたくなる原因のひとつだった。
(あのクソハゲとっとと死ねばいいのに!)
有子は常に思っていた。
だが有子が赳夫のことを邪険に思う本当の理由があった。
…………………
その夜、有子は1人社内に残って残業をしていた。
…サッ…
有子の肩にに突然誰かの手が置かれた。
「!!!!」
赳夫だった。
「いや~残業かね。よくがんばるね!」
「い、いえ…。」
有子はお前にだけは褒めて欲しくないと思った。
「頑張ってな……¨有子゛」
「!?」
赳夫は気持ちが悪いくらいの笑みでニヤニヤしながら言った。
有子は背中に冷たいものが走った。
「頑張ってくれよぉ…。いつまでも¨有子¨のこと見てるからさぁ…」
有子は何も言えなかった。いや何も言いたくなかった。
「それにしても有子の髪は綺麗だなぁ…」
そう言って赳夫は有子の髪の毛に線をなぞるかのように触ってきた。
「ちょっと、部長…」
「こんなに遅くまで仕事して…、疲れとるだろ…。肩を揉んであげるよ…」
そう言って赳夫は有子の肩に手を伸ばした。だが、それは肩を揉むと言うより、肩に手を忍ばせ愛撫する、に近かった。
いや、そうだったのだ。
「部長!やめてください!」
「おいおい…一体なんだね突然…。」
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