0人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
その日の夜、有子は自宅へ向かって歩いていた。あんな上司のいる会社など仕事がなければ、いる必要性は微塵もないからだ。
(まったく、何なのよ!あいつ、2人になるのを待ち伏せしてたのね!あ~、考えただけでキモイし腹立つわ!)
そう思いながら、有子は自宅に向かって足を進めた。
そして、数分後、有子は自宅へ着くと、すぐにベッドの上に体を預けた。
(あ~あ…また明日も`あいつ、に会わなきゃいけないなんて、もう会社に行くのが嫌になるわ…)
有子がそう思ったその時だった。
ピンポーン…
インターホンが鳴った。
(誰?こんな夜に?)
「はぁ~い」
有子は気怠そうに返事をし、ドアに近づきドアノブに手を伸ばした。
ガチャ
「こんばん…え?…あの…どちら様ですか」
ドアの向こう側にはスーツを着た男 2人がいた。
一人は理知的な目をした屈強な肉体をした背の高い男だった。もう一人は背丈は先ほどの男より少し低めで、坊主頭で顔には陰険そうな細長い目と薄い唇を並べていた。
「翔元有子さんですね?」
背の高い男が言った。
「はい、そうですけど……」
「少しあがらせてもらいますよ」
「え、ちょっと!」
坊主頭の男は有子を無視して 外から玄関へ入ろうとした。
「ちょっと!何、勝手に人の自宅へ上がり込んでいるんですか!!」 坊主頭の男を尻目に背丈の高い男は口を開いた。
「申し訳ありません。我々はただあなたに伝えたいことがあったので、このような処置をとらせていただきました。」
「あたしに伝えたいこと?…それよりもあなたたち…?」
「申し遅れました。我々はこういうものです。」
男は淡々としゃべりながら、有子に名刺を渡してきた。
大日本帝国
陸軍軍部 曹長
小山田行人
(こやまだゆきひと)
「軍人!?」
「その通りです。」
「大日本帝国の軍人さんが一体、な、何の用ですか!?」
「それは、今ご説明いたします」
「……わかりました。どうぞ……上がって下さい……」
有子はぶっきらぼうに言うと小山田を部屋に通した。
数分後
「それで、一体、私に何の話があるんです?」
「ご説明いたします」
最初のコメントを投稿しよう!