1185人が本棚に入れています
本棚に追加
/360ページ
それから少し経ったとき、声が聞こえてきた。
「ふぅん…。まぁ、あがっちゃえば?」
「そっか、悪いな」
……この声は、腐れ縁の友人だな。
友人は、アズサやエリアの前では「フェン」と名乗っている。理由は、俺がアスラと名乗っているのと同じような感じだ。
「おーい!アスラ、梓紗ちゃん!遊びに来たぜ!あと一緒に勉きょ―――」
そこまで言ってフェンが黙る。まぁ、突然知らない少女と幼女がいたらそうなるわな。
「フェン、俺だ。アスラだ」
「ぁ、アスラぁ?じゃ、ぁ、この子は……」
「あずさだよ!」
梓紗が元気一杯に声を出す。あぁ、なんか癒される。
フェンは俯いたと思ったらいきなり大声で笑い始めた。
「ははははは、まさか、いきなり女になっちまったのか?そんな無茶苦茶が通用するとか、お前どんだけおかしい奴なんだよ!」
「うん、黙れ。その言い方はムカつくから黙れ」
俺は笑顔でそう言った。
少し遅れてきたエリアはそのままフェンをもてなすために台所へ向かう。確かまだお湯が残っているからお茶くらいすぐ作れるだろう。
「けど、原因不明ってアレだな。お前の代名詞になりそうだな」
「嫌な代名詞だ」
俺達はもう驚くだけ驚いたので、勉強を始めた。
最初のコメントを投稿しよう!