相棒

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夜になった。 沖縄の夜は星が綺麗だ。 俺は一年に二回ほど沖縄へ来るが、いつもこの星には感銘を受ける。 いや、別にロマンチストでもなんでもないよ? ただ、綺麗なものが好きなだけだ。 しかも 今日はBGMまでついてる。 午後9時。 俺は浜辺に向かった。 「やっぱ夜中でも暑いなあ…」 俺はそんな独り言を呟きながら砂浜を歩く。 すると 前方から心地よいギターサウンドが聴こえてくる。 おっ、いたいた。 「おーい、奏くーん」 「ん?おお!来てくれたのか!」 奏くんはまた目を輝かせた。 「じゃあ聴かせてよ奏くん」 「うん。なんか人に聴かせたことないから照れるな…あっそれと俺のことは呼び捨てでいいよ」 「おう!じゃ、奏でいいか?」 「おう!」 「俺は音弥。秋谷音弥。よろしく!」 「音弥か!!よろしくな」 「そういえば奏はギター人に聴かせたことないって言ってたけどバンドとかは組んでないの?」 「うん。 俺の中学には軽音部がないんだ。 ギター弾いてるやつもいないしさ。 だから仕方なく1人で弾いてんだ。 俺の夢はバンドを組むこと! それで日本一のバンドを目指すんだ!」 「へえ…凄いなあ」 俺は心底感心してた。 人の目の前で自分の夢を語れる人なんて珍しい。 ホントに凄い。 「あっ、そうだ」 そう言うと奏がギターを自分の側に置いた。 ん?どうしたんだ? 「ギター聴かせる前にさ音弥のこと聞かせてよ!ねっ!良いでしょ?」 「うーん。良いけど」 あんま自分のこと話すのは好きじゃないけどさ ギター聴かせて貰うんだから仕方ないか。 まあ質問と言っても1、2個だよな。 「なんでも聞いてきなさーい」 こっから奏の質問攻めが始まる。
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