相棒

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「音弥何歳?」 「15歳で中3」 「一緒だ!!」 一緒かいっ! まあ同年代にはみえるけどさ。 でも茶髪だし… 奏が通う中学は頭髪自由な感じか? 「じゃあ音弥はさ、何処住んでんの?」 「東京の池袋。今は母方の里帰り中だよ」 「東京か~。良いなあ!!」 「なんで?」 「やっぱスタジオとかライブハウスとかバンド人口も多いでしょ?」 「ま、まあな」 正直俺はあんま知らないけどさ。 「やっぱり!!良いなあ!!良いなあ!!」 うわっ。 こんなにキラキラという擬態語が合う人がいるのか!! 眩しすぎるっ。 「それで、音弥は何部に入ってるんだ?」 「俺は帰宅部長さ」 「あっ入ってないんだ。 部長とかあんの?」 「すまん。適当に言った」 なんかめちゃくちゃ恥ずかしい。 顔がトマトになるっ。 うん。 この例えも恥ずかしい。 「そっかあ…なら音弥も楽器始めれば良いのに」 「うーん、俺は音楽の才能なんてないしなあ」 まあ成績も毎回3だしな。 「才能なんて必要ないよ!始めようよ!ねっねっ!」 うーん…どうしよ 「うーん…でもなあ」 「迷ってる?」 「正直ね」 「来週までこっちいる?」 きた、奏得意の話の切り返し。 「うん。今月いっぱいは」 「来週の日曜暇?」 「うん。暇だけど…」 なんだなんだ? 「よし!なら」 奏はポケットに手を突っ込み、中から紙を二枚取り出した。 そして一枚を俺に渡した。 「これは?」 「ライブチケット」 「え?まさか」 「うん。一緒に行こう!」 「マジか」 「マジだ」 奏は満面の笑みを浮かべている。 おいおい、そんな顔されたら行かないわけにいかないだろ。 まあ、暇だしいっか。 「まあ、いいかな。よし、行こう!」 「やった!このバンド俺がめちゃくちゃ好きなバンドでさ!たぶん見たら楽器やりたくなるぜ」 そう言い、親指を立てる奏。 「お、おう」 そう上手くいくのかね? 俺は疑問だったが、ライブが少し楽しみでもあった。 なんか俺の暇な里帰りライフはわずか数日で終結を迎えてしまったような気がする。 まあいいか。 なんか吹いてくる風が心地良いから。
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