相棒

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それはまさに衝撃だった。 ああ。癒される。 なんかこのまま浜辺に寝そべって寝てしまいたいくらいだ。 それくらい、奏が奏でる『音』は心地好かった。 じっくり じっくり 身体に染み込んでくる。 これがアルペジオの良さかあ… こんなに心地良いギターを、いや音楽を聴いたのは初めてだった。 素晴らしい。 その一言だった。 「スゲー…スゲーよ奏!!」 「………」 奏は返事をしなかった。 奏は曲に入り込んでいるかのように目を閉じて音に身を委ねていた。 これが…音楽っ!! 俺の中で何かが弾けたような気がした。 これがギターっ!! 俺は完全に興奮していた。 次々に俺に音がぶつかって溶け込んでいく。 すると、曲が終盤に差し掛かったのか奏の演奏スピードが格段に上がる。 早い! 凄い!! そして 最後の一音が鮮やかに刻まれた。 その刹那 俺は別の世界に自分が行っていたことに気が付いた。 音で彩られた世界。 なんて、世界なんだあそこは! 俺もあそこに自分の力で行きたい… 俺はこの時初めて本物の『音楽』を聴いた。
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