相棒

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数分後。 俺とじいちゃんはテーブルを挟んで謎の少年と向かい合っている。 「…………」 沈黙が続く。 さっきからじいちゃんはずっと黙っている。 え? じいちゃんまさか俺が話すの? こういうのって大人がやるんじゃないの? 確認のため隣を見た。 じいちゃんさ。 何、あからさまにお前が聞けみたいな顔してんの? まあ仕方ない。 痺れを切らした俺は謎の少年に問いただした。 「なんで家の倉庫にいたのか聞かせて貰おうか」 俺の問いに対し、謎の少年は目を泳がせながら答えた。 「俺、昨日の夜に浜辺でギター弾いてたんだよ」 ん? 話ずれてない? まあいいや。 無視無視。 「その帰り道にさ、この家の前通ったんだよ。そしたらさ…」 「そしたら?」 「この倉庫が開いてて、中にめちゃくちゃかっこいいギターがあるのが見えてさ」 少年の言葉に、俺はじいちゃんへ視線を移す。 するとじいちゃんは 「それはレスポールスペシャルじゃな」 と専門的なことを言い始めた。 「あっ、やっぱりそうっすよね?」 まてーい!話がズレ過ぎだ! ゴホンと俺は咳払いをして話を強制的に戻す。 そしてまた少年は話始めた。 「そんで、倉庫の中に入ってギターを見てたんだよ」 「うんうん」 「そしたら急に扉が閉まってさ」 「え?」 俺はじいちゃんの顔を見る。 「え?じいちゃんまさか…」 「わし…気付かなくて鍵閉めたかも…」 「おい!」 おいじじいぃぃ! 何やってんだああああ! 家の倉庫は外からは鍵の開閉が出来るが、内からは出来ない。 つまり 「今さっきまで閉じ込められてたって訳か」 「そうっす」 少年は笑いながら答える。 「じゃあさっきの家ってのは?」 「ああ、あれは適当に言いました!テヘッ」 テヘッじゃないのだよ少年。 君も悪いんだよ?勝手に倉庫に入ったから。 「はあ…」 じいちゃんは後でたっぷり説教するとして、とりあえず少年が倉庫にいた理由はこれで明らかになったのである。
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