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「なっ…なんだよ大家っ!
顔が赤いぞぉ!」
実際、大家の顔は切り傷による出血で赤かったが、それよりも美樹の前にいることで緊張して赤くなっていた。
「バっ、バカっ!
これはだな、その…。」
その時、商店街に2台の乗用車が猛スピードで侵入して来た。
路肩や店内に避難する買い物客たち。
乗用車は店の看板や商品を倒しながらあっという間に走り去っていった。
「あっぶねぇじゃねぇか!」
「何だい?今のは?」
「あー、危なかっただなあー」
「ンだよ~~!ウチの商品がメチャクチャでねぇか!」
商店街は嵐が過ぎ去った後のような惨事だった。
美樹が優作に駆け寄った。
「優作さん。今のクルマ、高嶺組の…。」
「だな。狭い日本、そんなにあわててどこに行く?」
「優作さんっ!」
「美樹っ!」
『仕事だあぁぁっ!!』
2人はそう言うと互いに正反対の方向に走り出した。
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