事件の幕開け

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「おやじ!またバイク借りてくぞ!」 優作はそう言うと、そば屋の店先にあったカブ号にまたがる。 「おぅ、気ぃつけてなあー。」 そば屋のおやじは驚きもせず平然と答える。 もちろん今回が初めてというわけではない。 そうして優作はカブ号で先ほどの2台の乗用車を追いかけていった。 一方、美樹は、 「大家さん、これ、つまらないものですが、どうぞ。」 と言って、買い物袋を全部大家に渡して走っていった。 大家はただ呆然と美樹の後ろ姿を眺めていた。 「…あはっ、どうも。」 タダでたくさんの食料品が得られたのだからラッキーである。 美樹は駐車場に止めておいた赤いスバルR-2に乗り込んだ。 驚くなかれ、ヤマハ・RZV500Rのエンジンを前後逆に搭載し、ギアで回転方向を反転させている。 美樹はR-2を急発進させると、これまた先ほどの2台の乗用車を追いかけていった。
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