生きる為に殺す矛盾

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 仮面を外す勇気を持たない私を、貴方は愚かだと嘲笑う事はしないのでしょう。  喩えそれがどれ程までに残酷な、仕打ちであろうとも貴方は知る由も無く。  幾千万の仮面を使い分け貴方の前に立つ私は仮面を外して鏡を見たとしてもそれが、己の顔であるとは気付けない。  だから。 「いつか貴方がこの仮面を壊したいと思ったその、時には」  素顔ごと暴いてむしり取って、他の誰もがこの仮面の下を知る事が無いように。  仮面も顔も全て剥がされ壊れたら、私は貴方の影になる。  新しい仮面で、貴方と同じ仮面で素顔の消えた顔を覆って過ごし、そして唯一度きり貴方の為に死にましょう。 「いっそ臆病者と罵ってくれれば良いのに、それさえもしてくれない」  私が仮面を手に入れるたび、仮面を奪われた誰かを消しているのに。  貴方はそれを知っているはずなのに、どうして何も言わないのでしょう。  それとも何かを言う価値すらも、私には無いと云う事なのでしょうか。  ああ、私には解らない事ばかり。 「誰かの仮面を奪うたび、私は何度も死んでいく」
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