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そうしなければ、私の存在意義は虚無へと飲み込まれてしまうから。
なのに、私は私を殺し続ける、私を生かす為に私を殺し続ける矛盾。
「頭が、おかしくなってしまいそう」
仮面のままに模して生きるなら私の生では無いと云うのに、それでも生きているのは私であり他の誰でもなく。
今まで考える事も気付く事も無く過ごしていられたのに、貴方にさえ逢わなければ変化など訪れはしなかったのに。
「それでも、貴方が言うのなら」
私の仮面はこれ以上増える事は無い。貴方の顔に指で触れても、感じるのはつるりとしたそれだけ。
私は貴方に言って、貴方は私に言った。
「貴方は私の仮面を壊す。私は貴方で奪う仮面を最後にする」
ああ、貴方は私を嘲笑ってはくれない。狂っていると、嘲笑って欲しかったのに。
私は貴方を消す事はできない、でも消してしまいたいと思う矛盾。
「貴方は消えず、死ぬ」
私はもう仮面を奪う事をしないから、私が私を殺す事も二度と無い。だから私は生き、貴方も生き、そして同時に死ぬ。
まるで双頭を持つ者達のように、一方が潰えればもう一方も潰える絆。
「私は消え、生きる」
昇華しきれない矛盾を抱え、手に入れた誰に切られる事の無い絆を抱き、鏡に浮かぶ貴方の姿にひとつ。
私は静かに接吻けを。
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