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チュンチュンと、雀の鳴き声と柔らかな太陽の光が部屋に差しこんでくる。
雀語は分からないけど、多分「おはよう」だろう。朝日が顔出す素敵な朝は、挨拶から始まるからだ!
『そんな訳で、ぐっもーにー雀さん達よ!』
挨拶と共にパッチリ目を開け身を起こす
まぁ、寝てたわけじゃ無いけど……俺、幽霊だし。
うん、あれ?幽霊とかは夜起きて、朝寝るのかな。他の幽霊(ひと)の事情は知らないからなぁ
それは置いといて、
『今日が始まりましたか~』
よっ、と気合いと共に今度は空中へ、ふわっと飛び上がる
うーん、と形だけの伸びをして境内へ出る
そう、境内。最近の拠点として陣取ってるのは管理人さんも滅多に来ないような、薄寂れた神社なのであーる。
地元の人も忘れ掛けてるような、ひっそりと佇んでるこの場所は、秘密基地みたいで割と気に入ってる
今の所、お迎えも天罰も無いので問題ないでしょ。神さまの巨大な懐に感謝感激
『さて、今日はどうしようかな~』
幽霊である俺は、予定がない。ぶっちゃけ暇だったりする
『およ?』
そんな事を、漂いながら悩んでいると階段を駆け上がってくる人影が見えた
「ハァ、ハァ、ハァ」
『朝早くからご苦労さんだ』
息を切らして現れたのは、1人の少女。黒髪ロングでセーラー服の中々の可愛い子ちゃん
彼女はキョロキョロと辺りを見渡すと、息を整えながら社へ真っ直ぐ、賽銭箱の前まで歩いてきた。とりあえず俺っちも隣に降り立つ
『何だい何だい?悩み事かいお嬢さん』
「……!」
そしてパンパンと柏手を打つと、凄い勢いで祈り始めた。力、入ってるねぇ
『真剣なのはいいけど、声に出してほしいなぁ』
神さまには聞こえても、浮遊霊の俺っちは心の声なんて聞こえないからな~
「……ブツブツお願い……」
『おっと、どれどれ』
俺の声が聞こえる筈もないけど、無意識なのか声に出し始めた彼女。遠慮なく聞き耳を立てちゃおう
「先輩とラブラブ、いや告白出来る勇気を……いっそ、もう少し仲良くなれるだけでも……この際、そばにいれるだけでいいです……」
ええ~!!段々、すげー弱気になってる!?
「よし!よろしくっ!」
そして勢いよく去っていく彼女。
『ま、俺も行ってきますよ神さま』
とりあえずやる事は決まった。キューピット、ユウ出動!
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