秘密

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近くの川原や公園などを手を繋いで散歩した。 まるで学生の頃のようなお金をかけないデートみたいだった。 2人は色々な事を話し、そして、お互いの子どもの頃の話をした。 私はごく一般家庭で育ち何不自由なく今まで生きてきた。 しかし 工藤は苦労の連続だった。 幼い頃に両親が離婚、母は家庭を養うために、朝から晩まで工場で働いて、3歳上の姉が彼の面倒を見ていた。 中学生になり、悪い友達と付き合うようにもなったが、母が突然の末期癌。そのわずか1か月後に亡くなってしまう。 そこで彼は 『これからは姉ちゃんにばかり頼らず、俺が姉ちゃんの面倒もみれるよう頑張ろう』 そう心に決めて、高校卒業後に美容室へ就職した。 美容学校へは行くお金がなかった。 それから、美容室を転々としながら、必死で修行を積んだ。 私は黙って話しを聞き 私「寂しかったね。苦労したね…お母さん、天国で今の立派な姿をきっとみてくれているよ。そして、見えない力で守ってくれてるよ。お姉さんを大事にしてあげてね。」 と、私から手を握った。 工藤はニコっとしたが目には涙が少し滲んでいた。 そんな彼をみて、私はもっと愛しく思った。 ベンチに腰かけて座った。 工藤は私の手を握ったまま離さないでいた。 何処か孤独感がある工藤を、私は放っておけないような気持ちになった。
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