その男、マイロイドマスターになる

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「お、よく来たね。退院おめでとう」 「おめでとうなのです」 部屋の主―ハカセとそのマイロイドであるサラリに出迎えられた二人は軽い会釈で返した。 「とりあえず座って。サラタン、お茶をだしてくれる~?」 来客用のソファを勧めながら自らも腰を下ろそうとするハカセ。 「…このソファ、書類で埋もれているんだが」 顔面包帯の男―ハイジんはソファの背もたれ近くまで積み上がっている紙の山を指した。 「…片付ける暇がなくてね。あは、あははは・・・」 ハカセの乾いた笑い声にハイジんは溜め息をついた。 数時間後― すっかり綺麗になったソファに腰掛けたハカセは手元の書類を持て余していた。 あれからお茶を用意して戻ってきたサラリも加え、何故か四人で部屋の片付けをすることになったのだ。 作業の合間に『あの後』の事やこれからの事について話している内にハイジんはなにやら時間のリミットがきたらしく、慌てて帰ってしまった。 帰り際にハイジんが置いていった茶封筒、中身は土地の転売に関する書類と履歴書。 「…マスターとマイロイドの愛の巣、ねぇ」 掃除の途中、先日マイロイドとの結婚を願い出たあるマスターの話をした際にハイジんが「…ちょうどいい土産がある」と言っていた理由がこの書類。 ご丁寧にも稚拙だが土地利用の計画書らしき走り書きのメモまで張りつけてある。
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