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入学式
ある事において、“そもそもの原因”というのは、誰もが把握出来るものではない。
誰かが殺人を犯したとして、その人が“命を落とした”原因は殺した人だというのは、世間な見解としては正しいだろう。
だが、それが“そもそもの原因”だと断定出来るわけではない。
もし、その殺人犯にそのまで堕ちるに値する過去があれば。
そして、そこまでさせてしまった環境にも、それ相応の過去があったのならば。
延々と繰り返すそんな事象が、“そもそもの原因”を曖昧にしてしまうのだ。
敵にも敵なりの正義がある。
だから、人はそれを無視する。そんな曖昧な理由を突き止めていては、決断する事は不可能だから。
だが、厄介なのはその曖昧なのが解りきってしまう事。
そして、それを解決出来る術を持ちながらも、その力が明らかに不足している。
そんな場面で、
一番辛いのは曖昧な原因か、
巻き込まれた人か、
それとも、
そんな場面を見過ごせばいいのに見過ごせない術を持ったその人だろうか。
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