250人が本棚に入れています
本棚に追加
「年取らないよね~。子供みたいで可愛いじゃん」
子供?
ああ、そうか。
ほう、と一息ついて頭を掻いた。
一般論として(?)、あのひとが歳をとる毎に若返っているというのは有名な(?)話で。
「俺らなんか着実に老けてんのにね~」
同意を求めるように俺に向かって頬を膨らませる天然男は「羨ましい」を繰り返す。
精神年齢だけで言ったら、こいつもあまり歳をとってはいないと思うのだが。
「にしても」
「へ?」
肩を組んだまま、天然男に顔を覗き込まれ顎をひく。
「なんでそんな焦った顔してたの?」
「え!? 焦った? 気のせいだろ~」
バシバシと天然男の背中を叩いて否定、というか全力ですっとぼけた。
痛い痛いと喚く天然男を後に、ずんずん廊下を歩く。
なんだかモヤモヤする。
モヤモヤ?
いや、キリキリする。
ちょっと前から感じ始めた感覚に首を傾げながら、本来の目的地だった筈のトイレの中へ。
「わっ」
「おい~っ」
バッタリと出くわしたのは、最近イメチェンを図った俺様男だった。
.
最初のコメントを投稿しよう!