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イメチェンというか、昔に戻ったと言った方が正しいのか?
アダルト路線を突き進んでいた(筈の)髪型は、今やヤンチャ盛りの昔を彷彿とさせるそれにとって変わっている。
「…なに? トイレ入れば?」
不思議そうに見下ろされ、あれ?と思った。
「お前、背ェ伸びた?」
「ん? そっかな。 調べてないから分かんないや」
ふーん。
なんだかまたモヤモヤ…キリキリしてきたぞ。
「リーダー髪の毛切ったんだね」
「え?」
何故それを俺に?
「可愛いよな」
「可愛い?」
「うん、可愛い。 とても年上だとは思えないよな」
優しく口許だけで笑うこいつは、分かっちゃいるが、結構な男前だ。
髪が短くなったせいで精悍さもプラスされ……。
まて。
待て待てまて!
なんだってこの時期に同じように髪を短くしたんだ?
いや、先に髪を切ったのはこいつだけどさ。
だけどあのひと、こいつの髪型とか昔からめちゃくちゃ気にしてたような…。
「……か?」
「へ?」
顔の前でヒラヒラと揺れる掌に気付いて、数回瞬きを繰り返した。
「大丈夫? 俺先に行くよ?」
「お、オッケオッケ!」
フハハと渇いた笑いを貼り付けて、俺様男を見送った俺はトイレのドアを押した。
やっべ。
キリキリが止まんねー。
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