1人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女は昔からの友達だ。
「ほら、あーんして。
食べさせてあげる。」
「いいよ。
自分で食べれる。」
僕は眉間にシワを寄せて、きっぱりとそう言った。
彼女は面倒みのあるいい子だ。
それは、僕にもわかる。
だけど、昔から彼女のことを知っている僕にとっては、それが少し鬱陶しく感じられた。
僕はエビを真っ正面から見つめる。
表情を変えずに、じぃっと僕を見つめ返すエビ。
まぁ、もう死んでいるのだから、動くはずがないんだけど。
「行くよ。」
僕は、鼻の息を止めた。
味覚を封じるためだ。
形はさることながら、味も好きではない。
.
最初のコメントを投稿しよう!