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族を討ち、捕らわれていた女性達を助けた虎達は何もない平野を列を成して進んでいた。
先頭を行く虎の名は孫堅という。
『江東の虎』という異名を持つ将だ。
髪は美しい桃色、褐色の肌に青い目。
本来ならば腰まで届くであろうその桃色の髪を後ろで一つに纏め、頭には一本のかんざしを刺している。
健康的な美とでも言うのか、それとも露出狂なのかは不明だが、大きな胸を完全には隠しきれておらず、へそ出し、短い裾というような服装だ。
しかしそんな彼女を娼婦と思わせないのはその身に纏う気品と勇敢さだろう。
孫堅は傍らにいる女性、黄蓋に話しかけた。
「祭よ、他に族の報告は無いのか?どうも準備運動程度で終わってしまった気がしてならんのだが…」
「堅殿が全く動かなかったからじゃろう。舞と香の二人で十分な上に策殿に要まで。堅殿が動く必要は無いと思うんじゃが…」
「なんだつまらん。我が牙は草を喰うためにあるものではないぞ…」
思い切り退屈そうな顔をした孫堅は馬の上で首を鳴らす。
黄蓋は溜め息をつくしかなかった。
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