一 虎

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その後ろで程普と韓当という将が話していた。 二人もまた黄蓋と共に孫堅に仕えてきた将だ。 先の戦いで一番に飛び出した二人である。 「陽蓮様はまだまだ元気ですね。私なんてもう足腰が衰えてきているというのに」 「何を言うかと思えば。私より二人多く斬ったくせにその言いよう。お前に比べれば私は老婆となるのか?」 韓当はおっとりとした女性だ。 黒髪に少し白髪が混じっている。 赤と白を基調とした服、足が隠れており、動きづらいのではないかと思うほど長い着物をきている。 その横にいる程普は大きな武器、蛇矛を背負う冷静な赤みがかった髪の女性だ。 こちらはへそを出し、見方によれば下着ともとれるものをはいている。 動きやすさに特化しているようにも見えた。 「あらあら舞、もう自分を老婆と認めるのですか?あなたは老婆らしからぬ身体をしていると思うのですが…」 「…さりげなくジロジロ見るな気色悪い」 韓当は確かにおっとりしている。 だが程普をみる目は明らかに狼そのものだ。
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