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一方シ水関。
その内部では兵士達が走り回って籠城の準備をしている。
それを指示しているのは華雄、張遼の二人だ。
二人は董卓軍の武将であり、董卓を守るためにこのシ水関に配備されたのだ。
「兵糧はあちらへ!!弓矢部隊は城壁から射かける準備をしておけ!!」
「騎馬隊はまだ出ようとしたらあかん!!ああこら、馬を落ち着かせぇ!!」
董卓軍の大半は怠けきった官軍。
こういった状況に陥ったことの無い官軍の兵達は右往左往するしかできなかった。
「全く…この程度の兵で守れ、とは…李カクはどうしてしまったのだ!?」
「ほんまや。抜かれろって言っとるもんやで。あのバカ権力前にしたら途端に裏切りや。脳まで腐ったんちゃうか」
李カクが董卓を操っており、二人を死にに行かせた…とも考えられるだけに二人は苛つく。
董卓を守る有能な武将を葬り、自分の意のままにする、という魂胆が見え見えなだけにさらに苛つきは増す。
「…華雄、とりあえずなんとか守るで。無理や思たら逃げて月を守りに戻るんや」
「逃げる、か。あの時と同じことを繰り返すのは嫌だ。私は死んでもここから動かん!!」
はぁ、と張遼は溜め息をついた。
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