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城に戻った二人は女性の部屋に少女を運び、寝かせた。
少女は見れば見るほどに美しい顔立ちをしていた。
「私と同じくらいかしら…。それにしても白い肌ね」
「北の方の出身か…。しかし身なりはひどいもんじゃの」
少女にはボロボロの布を巻かれただけだった。
城に住んでいる策にはその姿が珍しくてたまらなく感じた。
城下にもここまでひどい姿の者はいない。
ふと、策は思いついた。
「ねぇ祭!!この子、私達の仲間に加えましょう!!私と一緒に教育を受ければ―――」
「何を言われるかと思ったら…堅殿も知らせておらんのに。冥琳辺りが聞けば大目玉じゃ」
「冥琳はまだ偉くないから怒られても平気よ。お母様は仲間を欲してるから丁度いい。祭も私や冥琳以外にも育てられる子が増えるわ」
「…最後は儂にとって良いことなのかはわからんが…面白そうじゃのう」
「でしょ」
二人はニヤリとイタズラを思いついた子どものように笑う。
気を失っている少女が二人の思惑を知る由もなかった。
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