一 虎

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城に戻った二人は女性の部屋に少女を運び、寝かせた。 少女は見れば見るほどに美しい顔立ちをしていた。 「私と同じくらいかしら…。それにしても白い肌ね」 「北の方の出身か…。しかし身なりはひどいもんじゃの」 少女にはボロボロの布を巻かれただけだった。 城に住んでいる策にはその姿が珍しくてたまらなく感じた。 城下にもここまでひどい姿の者はいない。 ふと、策は思いついた。 「ねぇ祭!!この子、私達の仲間に加えましょう!!私と一緒に教育を受ければ―――」 「何を言われるかと思ったら…堅殿も知らせておらんのに。冥琳辺りが聞けば大目玉じゃ」 「冥琳はまだ偉くないから怒られても平気よ。お母様は仲間を欲してるから丁度いい。祭も私や冥琳以外にも育てられる子が増えるわ」 「…最後は儂にとって良いことなのかはわからんが…面白そうじゃのう」 「でしょ」 二人はニヤリとイタズラを思いついた子どものように笑う。 気を失っている少女が二人の思惑を知る由もなかった。
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