小さな悪夢の始まり

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イタリアンのお店は銀行から程近いので5分くらいで着いた 外から中の様子を窺うと女性の客が多く占めていて 自動ドアの前に置かれたボードには【只今満席です】の文字が 「やっぱ今日はツイてない」 せっかくの休日がこんなになるなんて どっかのコンビニで弁当とか買って家に帰ろう 地下鉄の入口が見えたので灰色の階段を無心で降りていった 切符を買って改札口に行き掲示板で時刻と番号を確認した 「ヤバイ。あとちょっとしか時間ない」 ハイヒールで走るなんてたかがしれている ならもういっそ裸足で 私は駅の真ん中で靴を脱ぎひたすら走った この電車を逃したら次は1時間も待たなくてはならない 階段を駆け降りて 止まっていた電車に飛び込んだ すると同時に静かにドアが閉じていった 「セーフ」 「セーフじゃねぇよ」
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