二人の死者

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「美鈴。あんた今日死んでるよ」 机に顔を預けぐったりとした私に 友達の奈々が言い放った 午後の講義も終わり教室内には私達しか居なかった だいたいの人がサークルに所属しているので 授業が終了すればそのままサークルに向かい各々の活動をする 私は今だサークルには入っていないので いつもバイト先に向かうか 買い物するか帰るかと自由にやっていた だけど今日はそんな気分になれない 全然寝れなかったのも理由になるが 朝からずっと二人の死んだ事件を耳が痛くなる程 無意識に聞いていたら テンションがどん底まで下がってしまったのだ 「かろうじて死んでない」 「何かあったの?」 昨日の私の一日が記憶のタンスから引き出されたが 直ぐに閉めた 言える訳がない どんなに中学からの知り合いで仲が良い奈々にも 「何もないよ」 「ふ~ん。まぁ無理に言わなくても良いけど」 察してくれたのか奈々は深くは聞いてこなかった
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