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「キャッ」
視界いっぱいに広がる
不審者の顔
違うあの咲 要の顔だ
鼻と鼻がくっつくぐらいの近さで
つい女の子ような悲鳴をあげてしまったが
私は今この咲 要に支えられてる
つまり助けてくれたのはこいつだ
不気味なのは変わりないが
早くこの状況を抜けだしお礼を述べて逃げよう
「あの大丈夫ですから。すみませんありがとうございます」
言い終わって体勢を戻そうとしたら
「あんた気をつけた方が良いぞ」
「えっ」
とても小さいがはっきりした声がマスク越しに聞こえた
何を?
と私が言おうとした時には彼は腕を離し
直ぐさま人混みの中に消えていった
気をつけろって何に?
頭の片隅で繰り返し流れる
咲 要の発した言葉
不審者の言った事を気にしてる私は馬鹿なんじゃないの?
忘れよう
無理矢理にでも
だって今日は変な一日なんだから
明日になったら普通に戻るよ
どうしてだろう
自分に言い聞かせる私が凄く必死だった
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