日常

10/27

20人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ
方法は2択。後ろから迫ってくるリーダーを撃退するか、前方で待ち構える残り2人を蹴散らすか。 どちらにしても戦闘は避けられないか。 なら、答えは決まってる。わざわざ目の前にある目的地を逃すほど馬鹿ではない。 それに――負けるつもりは毛頭もない。 駆け出す。もう、呼吸は整った。 使えるものはあるのか?ポケットを探る。 右は何も無い。左には棒付きの飴玉が3本。使える物は無さそうだ、うん。 刀を使うか。いや、怪我はさせたくない。抜身する暇もない。 じゃあどうする。残るは―――己の体のみ。 トンネルの出口にさしかかる。随分長い間いた所為か光すら俺を拒絶してやがる。 同時に右方から人影が視界に入る。ほんとに、いやがった。 「止まれ」 そう言い俺の前に立ちはだかる。クールボーイか。 俺に残された手は――― 「無理」 強行突破。 止まらない。敵が目前にいても止まらない。 一撃。鳩尾に勢いを利用し拳を放つ。 勝利の音楽のように背後からBGM――基(もとい)呻き声が聞こえる。勝った気がしないのはしょうがない。 自業自得。正当防衛。そうやって自分を正当化する。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加