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俺は別に悪くない。そう思う自分に腹が立つ。
だが、不幸中の幸い。暴力を翳(かざ)した相手が1人だと言うことが罪悪感を少しだけ軽減させる。
「ん?」
心の奥に引っかかる疑問。何かを忘れているような。そんな有耶無耶した感覚。
長い時間を有し――やっと気づいた。
振り返る。答えを探すために。
心に雨が降り続ける男――ふけ顔がクールボーイが出てきた方とは逆手のトンネルの陰に居座っていた。
戦う意志はない。追いかけてくる気も無い。ほんとなんなんだ。
靴は変わらず長靴。良く走れたな。敵ながら賞賛してしまうほどの俊足。
それは思わずリーダーだと勘違いしてしまうほどの速さだった。
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