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見事なまでに手と手の間をすり抜けていく。逆に関心。
落下した飴玉を慌てて拾うと、もう一度深くお辞儀をする。
そして一言。
「ありがとうございます!」
天真爛漫な笑顔。皺がよって余計におじさん化する。可哀想に。
そして、そのまま口にくわえた。包み紙を外さないまま。ある意味天然だな。
視線を移しトンネルの奥を見据える。
そこにはリーダー。赤髪からは汗が垂れ流れ、顔は地獄を見ているような表情をさらけ出している。
「じゃあな!」
満身創痍の壊れかけのリーダーにそれだけ告げ、逃走を開始する。
背後から、頼む待ってくれ。と、男の縋るような願いが聞こえた。まあ、待たないけどな。
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