20人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ
―――――――
「ふぅ‥‥」
安心したと同時に溢れ出る開放感。その感情の赴くままにその場に倒れ込む。
仰向けのまま空を見上げると、ちょうど太陽が山に隠れようとしていた。太陽も恥ずかしがり屋だな。
目を瞑る。感覚が研ぎ澄まされ、より鮮明になる。こんなに、草が気持ちいいとは‥‥。
まるで、天然のベッド。時々俺の皮膚を攻撃してくるのは許してやろう。
視線を下ろす。空から足元に。
視界に入るのは茶色い三角屋根の建物。我が家だ。
扉の上には看板。入り口の方に視線を向ければ立て札がある。
立て札には“依頼以外の侵入者は即排除します”という内容。
看板には俺の経営している店の名前が書かれている。
木製の看板。その中央に書かれているのは――
“ヘルパー俺”
いやー、恥ずかしい。
子供の頃の俺は今に増してネーミングセンスが悪いようだ。
法律と、酷な世界。その上手くいかない現実の中、知恵を振り絞って考えたのがこれだった。
最初のコメントを投稿しよう!