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いつだっけな。小さすぎて日付すら覚えてない。覚えてるのは嫌なくらい晴天だったと言うこと。
そんな中、母を失った。原因はガン。
父さんは俺が生まれて直ぐに息を引き取ったらしい。
それからは、一番親しかった瑞浪家に住まわしてもらった。
懐かしい――この記憶も。あの家も。何もかも。
近いうちに会いに行こうかな。
記憶の断片が頭の中で描かれる。何不自由なく育ててもらっていた家が。
二年前、そんな生活から――家から俺は逃げた。
嫌だったんだ―――
自由な生活が。頼りっぱなしの自分が。気を使われる毎日が。
俺を養うために一生懸命働く京香の両親。あの光景を目にして何とも思わないなら、それは悪魔以外の何者でも無いだろう。
行動に起こしたのは俺が14歳の時。浮かぶ光景、言葉、雰囲気。
目を潤わせ必死に阻止する京香の両親の気持ちをくみ取っていたのに―――俺はそこに残らなかったんだ。
渋々ながら了承し、京香の父さんが条件として提示した事が―――
『だったら、京香も連れて行け。多分役に立つ』
この現実を招いた。
間違った提案を誰1人として修正する者はいなく、京香の母さんまで賛成していた。
―――どこで間違えたんだろう。
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