日常

21/27

20人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ
「ルールその一!俺にライオンを近寄らせるな」 一言。子供より面倒な人間だ。 自分から近づいて、ライオンを近寄らせるな。 あの人は俺をなんだと思ってるんだ。神。新種の生物。あるいは地球外生命体だろうか。ふざけるな。 まず、百獣の王に一般の人間を戦わせる時点で非道だ。 溢れる怒り。空間把握も目的も、何もかも忘れ、反論に出ようとした時――― 「口答え、ルール無視を行ったら報酬が無くなると思え」 信じがたい言葉が告げられる。絶対こいつ頭可笑しいだろ。 怒りを収縮させ睨みつける。それに対し、笑顔で見つめ返される。気持ち悪い。 イライラする。いっそ報酬なんて諦めて、ライオンの餌に富田さんをあげよう。そんな案さえ浮かぶ。 落ち着け。落ち着け。 考える。最善策を。対処法を。勝利の方程式を。 ライオンはまだ来てない。 まず―――富田さんをどうかしないとな。 ルール、発言、それらが俺から自由を奪う。本当に面倒な人間だ。 じゃあどうする。そんな疑問が浮かぶ。 遠距離の武器がない以上狭い玄関での戦闘は圧倒的に不利だ。 達した結論は富田さんから離れること。 俺は警戒心を解かず家の奥へと足を踏み入れた。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加