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「ルールその一!俺にライオンを近寄らせるな」
一言。子供より面倒な人間だ。
自分から近づいて、ライオンを近寄らせるな。
あの人は俺をなんだと思ってるんだ。神。新種の生物。あるいは地球外生命体だろうか。ふざけるな。
まず、百獣の王に一般の人間を戦わせる時点で非道だ。
溢れる怒り。空間把握も目的も、何もかも忘れ、反論に出ようとした時―――
「口答え、ルール無視を行ったら報酬が無くなると思え」
信じがたい言葉が告げられる。絶対こいつ頭可笑しいだろ。
怒りを収縮させ睨みつける。それに対し、笑顔で見つめ返される。気持ち悪い。
イライラする。いっそ報酬なんて諦めて、ライオンの餌に富田さんをあげよう。そんな案さえ浮かぶ。
落ち着け。落ち着け。
考える。最善策を。対処法を。勝利の方程式を。
ライオンはまだ来てない。
まず―――富田さんをどうかしないとな。
ルール、発言、それらが俺から自由を奪う。本当に面倒な人間だ。
じゃあどうする。そんな疑問が浮かぶ。
遠距離の武器がない以上狭い玄関での戦闘は圧倒的に不利だ。
達した結論は富田さんから離れること。
俺は警戒心を解かず家の奥へと足を踏み入れた。
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