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玄関を抜け広間へと入る。広いな。
舞踏会でも開けそうな程の豪邸。現に開いてるんじゃないかとさえ思う。
広い広い広間。奥には内曲線を描く階段がある。その階段の先には、巨人が入るんじゃないかと言うほど大きい扉。
だが、その扉の視認を遮るかのように百獣の王―――ライオンが立ちはだかっていた。
威嚇動作のように唸る。戦闘する気満々だな。
内心叱咤する。戦闘を避けられないと言うことに。
大丈夫。頭は冷静だ。富田さんも、もういな――
「ルールそのニ。俺を楽しませろ」
いた。背後に。玄関に続く廊下の側にある小窓に。窓の手前にある花瓶もついでに目に入る。
楽しませろだと。ゲームでもやってろ。
近づけたらダメ。見えない位置で戦うのも禁止。ゲームのしすぎで現実と二次元の区別がつかなくなってやがる。
「ふぅー…‥」
深い深呼吸をする。戦闘態勢に入るために。
そして―――ライオンが駆け出す。
「なっ!?」
まるで、隙を狙うかのように。富田さんより頭いいな。
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