日常

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名は富田さん。 ライオンの収監に成功したことを俺はあの時、窓にいる富田さんに伝えた。 それに対し歓喜の声を上げながら窓から広間へと侵入を試みた。完全なるアホだ。 だが、富田さん。目はいくら輝いていても、六十歳程度の老人。 そう上手くはいかなかった。 窓に足をかけ、そのまま勢いよく前へと体を傾ける。 手前に花瓶があることに気づかずに。 鳴り響く高音。破片が飛び散り、俺の足を服の外から刺激する。 その花瓶は実は富田さんのお気に入りで高価な物だったらしい。じゃあそんな所に置くなよ。 富田さんは自分の過ちのせいで機嫌を損ね、結局くれた金額は普通の依頼程度だった。 世の中は理不尽だ。 そして――富田さんも理不尽だ。
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