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「なんちって!あはっ!」
先ほどの真顔とは打って変わり再びいつもの天真爛漫な笑顔に戻る。
ただ――さっきの気迫は紛れもなく本物。
惑わされるな。こいつの言葉に。口調に。表情に。
構えろ。そう、言い聞かせる。
右手は常に左腰に刺さってる刀に添えている。
実感しているから。
こいつは―――人を殺せる人間だ。それも躊躇いもなく。
真っ黒な髪。真っ黒な瞳。身長は同じくらい。年齢は二十歳前後。
容姿が少し幼い所を除けば、一介の社会人と何ら変わらない。
「お引き取りを願う」
だけど、俺は戦う事を避けた。低姿勢で、冷静に。
こいつは依頼をしに来た側の人間じゃない。
昨日のやつらのような間違いなく、俺に戦いを挑みに来た側の人間。
その上昨日みたいな生半可な覚悟じゃ勝てない。だから、冷静に対処する。
だが――そう甘くは無かった。
「やだね!君は俺と出会ったんだ。だから‥‥」
来る。先ほどと同じ顔つき。
刀を構え、臨戦態勢に入る。
やがて――言葉は繋がれた。
「君の運命は変えられない」
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