始まりはいつも理不尽

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体の震え。それが圧倒的恐怖を物語っている。 「なんだと‥‥」 やっとの思いで漏れた言葉も大した意味を成さない。 やがて―――不可思議の言葉を告げられる。 「君の運命は変わったんだ。もうこの星から消え去ることになるだろう」 口振り。口調。まるで、俺よりも俺のことを知っているかのように―――こいつは俺の未来を断定した。 この星から去る。それが運命。 笑わせるな。 真実。虚実。動揺。本心。 本当の目的なんて分からない。 でも、こいつが決めた未来になんか―――俺は絶対ならない。 煮えたぎる決意の中、こいつは話の続きを口にする。 「そして君の人生を左右しているのは――僕だ」 不可解な言葉。でも―――もう良い。 いくら御託を並べたって結局“言葉”でしかない。 こいつの言葉が俺を惑わす。 だったらこいつを―――殺せばいい。 やらなきゃやられる。躊躇してたら足元を掬われる。 気づけば俺には生存本能が生まれていた。 刀を抜く。刀と鞘の擦れる音がより現実味を増させる。 これは―――命をかけた戦いなんだ。 いや、違う。考えろ。“本当”の目的を。 何かを隠してる。武器がない。にもかかわらず余裕の笑み。 「余裕そうだな」 「うん!君は僕より弱いからね!きゃは!」 「人を見かけで判断するな」 「ごめんね!君は強いんだったね」 言葉の意味が汲み取れない。 褒めてるのかけなしてるのか曖昧な台詞。笑い声。何もかもが俺の頭を働かせる。 だが、そんな事など序の口だったよかのように予想外の事を述べた。 「釧真 琉希君」
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