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「なっ!?」
なんで―――名前が知られてる。
初対面。名を名乗った覚えも無い。
なのに―――まるで友達のように知っていた。
いや、落ち着け。惑わされるな。飲み込まれるな。
「何で知ってるか不思議そうだね!」
どうする。平常心を装うか。それとも正直に認めるか。
ダメだ。多分――読まれてる。だったら少しは可能性がある方に賭けた方が得策だろう。
「ああ、不思議だ」
「素直だね!じゃあ、教えてあげる!ここに来た理由もね!」
予想外の展開。意外すぎて逆に恐怖を感じる。
握られた刀は若干震え、手からは汗が滲み出していた。
刀を握り直し、依頼者――葉咲 颯真を見据える。
「ここに来た理由はもちろん依頼だよ!僕はある組織のリーダーをやっていてね」
「組織の名は」
「そして、今僕達は人手が足りなくて困ってる」
問う前に言葉を遮られる。あくまでペースは変えないって事か。
漏らす情報は自分に害のない程度。そして、予想が当たったことに、俺は小さく舌打ちを零したした。
やはり―――こいつは強者だ。
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