始まりはいつも理不尽

10/37

20人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ
「なっ!?」 なんで―――名前が知られてる。 初対面。名を名乗った覚えも無い。 なのに―――まるで友達のように知っていた。 いや、落ち着け。惑わされるな。飲み込まれるな。 「何で知ってるか不思議そうだね!」 どうする。平常心を装うか。それとも正直に認めるか。 ダメだ。多分――読まれてる。だったら少しは可能性がある方に賭けた方が得策だろう。 「ああ、不思議だ」 「素直だね!じゃあ、教えてあげる!ここに来た理由もね!」 予想外の展開。意外すぎて逆に恐怖を感じる。 握られた刀は若干震え、手からは汗が滲み出していた。 刀を握り直し、依頼者――葉咲 颯真を見据える。 「ここに来た理由はもちろん依頼だよ!僕はある組織のリーダーをやっていてね」 「組織の名は」 「そして、今僕達は人手が足りなくて困ってる」 問う前に言葉を遮られる。あくまでペースは変えないって事か。 漏らす情報は自分に害のない程度。そして、予想が当たったことに、俺は小さく舌打ちを零したした。 やはり―――こいつは強者だ。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加