始まりはいつも理不尽

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幾度となく刀を振る。足元。銅。あらゆる所を狙うも効果は無し。 空を切る刀。目標はいつまで経っても捉えられない。 見切るのが上手。剣技が鈍(なまくら)。どちらにせよ、劣勢なのは確か。 実力は予想通り相手の方が上手。自信のある剣術が通じない。それだけでも精神的な疲労は大きい。 一度距離をとり体勢を立て直す。考えろ。落ち着け。 「ふぅ‥‥」 自分が弱者の状況に陥るのは初めてではない。寧ろいつも、そうだった。 葉咲から攻撃する気は感じ取れない。未だに余裕って訳か。 でも―――諦めはしない。 ピンチ。そんなのも覆すほどの逆境。 経験。戦闘の数。ピンチの数。そして―――その状況をくぐり抜けた数。 それが今の俺の自信に変わる。 守りたいもの。守りたい場所。守りたい人。 それらが俺に力を与える。 大丈夫。まだ―――勝機はある。
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