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最初に頭の中に浮かんだ言葉は、意味不明。脳の理解が追いつかず思考は更に混乱させるだけ。
脳裏に新たに生まれる言葉は、単語として形成され繋がりをなさない。
結び付かない。関連性を見い出せない。
こいつは俺に何を伝えようとしているんだ。謎が深まる真実。
そして、追い討ちを掛けるように更なる疑問を作り出す。
「理解出来るかも、信じるかも琉希君次第だよ!でも僕を殺せば君は死ぬ運命」
物心付くより前に親が亡くなった俺は“死”を見たことがない。
人は“死”に直面した時、どういう反応をするのだろうか。
泣くのか。怒るのか。悔やむのか。苦しむのか。
死を見たことのない俺には分からない。
でも―――笑って口にするほど“死”という言葉が軽くないものだと言うことぐらいは分かる。
「そして、彼女も死ぬ運命だね!あはっ!」
そう。俺は人が死に行く瞬間を見たことは無い。
だけど―――取り残された人の気持ちは良く知っている。
その辛さも。その苦しみも。
咄嗟に振り返った先には京香が扉の前に立っていた。切なげに悲しげに俺を見つめている。
京香が言葉を発しようと口を開いた直後―――
「隙あり!」
視界は急速に移動する。
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