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三人が葉咲の存在に気づき、駆け足で近づく。
ぼやけていた顔は鮮明になり、やがて俺の瞳にはっきりと顔が露わになる。
そして気づいた。その三人に見覚えがあることに。
大剣に赤髪の男。黒髪の整った顔の男。老け顔の男。
今目の前にいるのは昨日出会った三人組。昨日と大差無い服装で俺へと歩み寄る。
瞳には恐怖や畏れなどが見られず、笑みを浮かべ近寄る。その笑顔は俺の心を更に締め付けた。
襲いかかる責任感。
くそっ。
くそっ。
「くそっ!」
こいつらが巻き込まれたのは俺が弱いから。俺が負けたから。俺が迷ったから。
京香の人生を壊し、そしてさらに被害者を増やしていく。
今まで負けることの無かった戦い。
勝つのが当たり前で、負けを知らない世界での初めての敗北は――
あまりにも重すぎた。
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