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「く‥‥そ‥‥」
重すぎる責任感に心が潰され、泣くことも出来ずただ嘆く。
“絶望”が雨のように心を打ち付ける。疲労は爆発したように俺の体を急速に蝕む。
絶望。責任感。それらが俺に苦しみを与える。
その重圧を振り払うように、葉咲は救いの手を差し伸べる。
「琉希君は悪くない」
葉咲が無責任に情けをかける。まるで全てを知ったかのような口調で。
俺の何を知っている。何が分かる。
溢れる怒り。苦しみや責任感が憎悪に変わり、葉咲へと矛先が向く。
抑えられない怒り。自然と口から言葉が漏れる。
「お前に」
元凶であるお前に
「お前に」
命を失ったことの無いお前に
「何が分かる!!」
「琉希君はあの3人を巻き添えにしたね!」
決死の叫び。だが、その叫びですら無に帰す。
話題転換に徹する葉咲は更に意味深な言葉を呟いた。
「でも、あの3人もまた、琉希君を巻き添えにしたんだよ!」
「なんだと‥‥」
理解不能。こいつの言葉は謎を増やすばかりで、頭の中を滅茶苦茶にかき乱す。
何を伝えたいのか。何が目的なのか。
笑みを絶やさず俺の表情を伺うように間を空ける。
そして囁くように話し出した。
「僕は強い人が欲しいだけで琉希君じゃなくてもよかったんだ」
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