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残酷。そんな簡単な言葉では片付けられないほど非道で無惨な言葉。
俺たちの人生が。運命が―――偶然のせいで狂った。
怒りは募り、表情は険悪。自身でも感じ取れるほど気持ちを制御出来る限界は近づいていた。
そんな俺を気にも止めない。
「僕は君の存在を知らなかった。なのに琉希君を選んだ。何故だか分かるかい?」
まるで友達のような口調。初対面にも関わらず懐かしさを感じる自分が嫌になる。
「どうして‥‥」
口から漏れる言葉。神経を研ぎ澄ませ、謎解きに集中する。
どうして‥‥か‥‥。
必ずどこかにヒントがある。答えがどこかに隠されている。
今までの会話を振り返り、考えたのは僅か数秒。
「そうか‥‥!」
答えは近くに。破片のように幾つものヒントが隠されていた。
『琉希君が強いってのはその辺にいた三人組に聞いたんだよ』
『でも、あの3人もまた、琉希君を巻き添えにしたんだよ』
簡単に。巧妙に。さり気なく挟まれていたヒント。気づかなかった自分に自嘲さえ沸いてくる。
そうか‥‥。
そうだったのか‥‥。
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