始まりはいつも理不尽

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静かな庭に響く呻き声。その声が更に俺に責任感を増させる。 声のした方へと視線を向ける。そこにいるのは赤髪の男。 体が傾き意識は既に保たれていない。そして、重力の重みに沿って体は地面へと接した。 重い音が響き、その背後にいた葉咲が目に入る。 笑顔で。楽しそうに。こいつは―――赤髪に手刀を入れていた。 意識を奪ったのは間違いなくこいつ。 どうやって。いつの間に。移動方法が謎に包まれるが考えている余裕なんて無い。 「おい!」 怒声は葉咲の心に届くことなく視線で一喝される。その笑みは、狂気に完全に満ちていた。 全身にたつ鳥肌が恐怖していることを自身へと伝える。 やめる気配は―――ない。状況把握が出来ているのは俺だけ。 葉咲と視線が交わったのは一瞬。ニヤリと笑い―――姿を消す。 現れたのは赤髪の横にいるふけ顔の男の背後。 ―――振り返るまもなく手刀が入れられる。 ふけ顔の男の体が傾き、やがて地面に激突する。 意識を刈り取ると言うことは殺す気は無い。それでも―――このまま立ち尽くしても変わらない。 刹那の時間で葛藤を繰り返し結論を出す。 「ちっ!」 舌打ちを零す。同時に踵を返し、駆け出した。
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