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威力は実力と直結し絶望へと誘(いざな)う。
世界は急速に移動を開始し、全てが矢のように細く後ろに突き抜けていく。
「あ゛ぁぁ!」
落下。地面を平行に滑り勢いが止まる。
体には尋常じゃないくらい激痛が流れ、一気に汗が噴き出す。
怪我の箇所を確認。肋(あばら)の骨が折れている。着地の失敗により足を痛めた。
見えなかった。気づけなかった。遅かった。
今までとは比べ物にならない程の威力。そして、気づいた。
手を抜かれていたことに。葉咲にとって俺なんか敵ですら無いことに。
呼吸が上手くできない。体が思うように動かない。
動くのは口だけ。自身の叫び声だけが木霊するのが現状。
痛みが体を、心を、脳を、蝕む。そんな状況下、耳は鮮明に一つの声を聞き取った。
「助けて‥」
か弱く、言ったのかも曖昧なほど小さな声。
だが俺にははっきりと耳元で囁くように聞こえた。
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