始まりはいつも理不尽

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歯を食いしばっても足は言うことを聞かず、小刻みに痙攣するばかり。 使い物にならない足は痛みだけを鮮明に伝えてくれる。 視界は目から零れた液体によりぼやけだす。 何が大切な人だ。何が強いだ。何が守るだ。 ―――何も守れないじゃないか。 助けたい。守りたい。気持ちだけが強さを増す一方、体は一切の動きを見せない。 まるで、見殺しにさせるように―――現実は着実に進む。 霞んだ視界に映る京香の倒れゆく姿。小さな悲鳴を上げ細い体は地面と接触する。 生まれるのは純粋な悔しさ。守れなかったこと。負けたこと。何も出来なかった自分への事故険悪。 現実から逃げたくなる光景。 耳も目もいらない。そう、思わせるほどの残酷な現実。 京香の代わりになりたい。京香を傷つけたくない。 だけど、いくら想ったって―――現実は変わらない。 「うあぁぁ!」 泣き叫ぶ。そんな状況下、耳に響くのは悪魔の様な呟き。 「これで全員消えた」 その言葉は俺には重く、ただ泣き叫ぶ事しか出来なかった。
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