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「ちゃんと返事をしろ!負けたら金を有り余るくらいくれてやる。だから俺と勝負しろ!」
そんな事を問われる。どれだけ金に欲が強い人間だと思ってるんだ。
勝利報酬は金。俺はそんなに金を求めていない。少しは求めてるけど。
よって答えはもちろん―――
「断る」
たった一言。即座に踵を返し駆け出す。逃げるのに勝ち誇った気分に陥るのはどうしてだろう。
「ふ、ふざけるな!」
背後からリーダーの声が聞こえる。怒りがそのまま言葉として出ていた。
全く、短気なものだ。
ちゃんと返事したんですけど。そんな、反意を心中で唱えた。
徐々に加速するスピード。周りの風景が横に延び、矢のように後ろに流れていく。
心臓の鼓動も比例し加速する。はぁ、早く家に帰りたい。
捕まれば戦いを強要。家に辿り着けば逃走成功。
そんなやり取りに少なからず楽しさを覚えていた。
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