20人が本棚に入れています
本棚に追加
―――――――
「はぁ‥‥」
部屋の入り口の前で立ち尽くす。いつもなら平気で入れるはずなのに今日だけはたじろいでしまう。
理由は何か。そんなこと自分に聞かなくたって分かってる。
――――答えは一つしか無いのだから。
隣の部屋では三人組が未だに熟睡してる頃だろう。
意を決し部屋に入り、無意識に歩を進めていく。
時計の針が示す時刻は零時。それは日付が変わったことを示している。
部屋の一辺を支配するほどの巨大な窓から漏れる月明かりが、真っ暗な部屋を僅かに照らしていた。
「‥‥ぁあ」
思わず口から漏れる声は言葉にならない。窓を覗覗けば綺麗な満月が輝いていた。
月明かりに照らされた室内に微かに漏れる吐息。それは俺を悩ます原因であり。俺の無意識に勝手に侵入してくる本体。
何で。何で。
――京香と寝ることになったんだ。
布団の枚数的に足りないことは分かっていた。だが、他にも選択肢あったのも事実。
好きだからこそ躊躇してしまい、頭の中が混乱する。
俺は自分自身で無粋な気持ちをかき消し、布団に入った。
最初のコメントを投稿しよう!