愛し

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――――――― 「はぁ‥‥」 部屋の入り口の前で立ち尽くす。いつもなら平気で入れるはずなのに今日だけはたじろいでしまう。 理由は何か。そんなこと自分に聞かなくたって分かってる。 ――――答えは一つしか無いのだから。 隣の部屋では三人組が未だに熟睡してる頃だろう。 意を決し部屋に入り、無意識に歩を進めていく。 時計の針が示す時刻は零時。それは日付が変わったことを示している。 部屋の一辺を支配するほどの巨大な窓から漏れる月明かりが、真っ暗な部屋を僅かに照らしていた。 「‥‥ぁあ」 思わず口から漏れる声は言葉にならない。窓を覗覗けば綺麗な満月が輝いていた。 月明かりに照らされた室内に微かに漏れる吐息。それは俺を悩ます原因であり。俺の無意識に勝手に侵入してくる本体。 何で。何で。 ――京香と寝ることになったんだ。 布団の枚数的に足りないことは分かっていた。だが、他にも選択肢あったのも事実。 好きだからこそ躊躇してしまい、頭の中が混乱する。 俺は自分自身で無粋な気持ちをかき消し、布団に入った。
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