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「ハッ、ハッ」
呼吸を整え駆け抜ける。道路を逸れ、林を縦横無尽に疾走し、また道路に戻る。そんな事を繰り返しながら敵を拡散させる。
足音は聞こえない。振り返らずとも誰もいないことが分かった。
少し安堵しながらも油断はしない。
走る、走る、走る。
体力や足には自信がある。大きさ綺麗さではない。速さだ。
だから真っ向勝負を避け逃走を図る。
平和主義者なんてきれいごと、実際はただの臆病者なのが真実。命をかける度胸なんて持ってない。
「ふぅ‥‥」
トンネルに差し掛かり、スピードを一気に落とす。休憩だ。
足音は自身ののみ。前後を見渡すが来る気配も無い。いや、遙か彼方に発見。点になるほど遠くに。
ほんの少しずつ近づく点。やがて、形に変わる。
よし、行こう。
そう思い、視線を前方に戻したとき―――
気づいた。否、気づいてしまった。
振り返る。形を手に入れた点は人影へと変貌していた。
剣を担ぎ一生懸命走るリーダー。剣の大きさが仇になったな。
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