20人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ
「ちっ!」
厄介な事になった。そう、小さく舌打ちを零す。
背後を再度確認するが、やはりいるのは1人だけ。リーダーだけが追いかけて来ている。
考えろ考えろ。
頭を働かせ今の状況を整理する。
俺のいる場所はトンネルの中腹。敵の数は3人。
1人は背後から。じゃあ残りはどこにいる?そんな自問をしてみる。
だが、現実で分かっているのはそれだけ。残りの2人の居場所なんて知る由も無い。
どこだ。
考える。働かない頭をフルに回転させ推測する。
俺は途中で敵を拡散させた。だから、その分他の人よりタイムロスした。
じゃあ他の2人はどこに。必死に答えを探す。限られた情報の中で。
なぜ、こんなにも離れているのにリーダーは俺を見失わずに追いかけて来れたのか。最初にそんな疑問が浮かぶ。
すぐに気づいた。バラバラのパズルが繋がっていくように。
そして俺は――――
「はぁ」
ため息をつく。この状況に。あまりの疲れに。運の悪さに。
本当に今日は熟(つくづく)運が悪いな。
前提として敵は俺の構える店の位置を知っているだろう。だから、リーダーは俺を見失っても追いかけて来れた。
なんたって、俺の構える店までは一本道。この大きな道路を少し小道に逸れれば辿り着く。
逆に言えば、俺の構える店まではここを通らなければならない。
時間は無い。リーダーはもう既にトンネルの入り口付近まで迫ってきている。
だが、トンネルの出口の側で残り2人も待ち構えているのも大方見当がつく。
どっちに転がっても八方塞がりの状態だった。
最初のコメントを投稿しよう!