37人が本棚に入れています
本棚に追加
「紫昏!大丈…っ!?」
「どーしたよ八か……、!」
「え…紫昏……?」
「?当たり前だろ。って何お前等驚いて………あ゙」
変化…解いたまんまだったな、そういえば。…何なんだ今日は、任務で余裕ぶっこいていた自分への腹いせか?厄日か?まずどうしてくれようかこの状況。畜生誰か助けろ!!
「てめぇ…何者だ」
「人間」
「……………」
「……………」
……しばらくの沈黙。
しかし長くは続かず、千薙に押さえ付けられていた妖怪がタイミング良く暴れだした。
「んのクソ餓鬼!どけェ!!」
「だ・ま・れ」
「ッガ……」
(出直しで)クナイを左胸目がけて突き刺す。一瞬、ビクンッと体を跳ね上げ、小さく声を漏らした妖怪。その上にかぶさるシーツの一点から、じんわりと紅が広がっていく。妖怪に、既に息はない。
それを表情を変えずに見下ろしていた千薙はゆっくりと顔を上げ、三蔵達を視界に映した。
「(紅い…眼…?)」
「………はぁ」
「…第一声がそれとは、随分と余裕だな」
「どーも」
「褒めてねえ」
またも沈黙。
三蔵は千薙に銃口を向けたまま的を逸らさない。なのに千薙はそれを気にする事なくおどける。それもそうだろう。千薙は生まれてこのかた“銃”というものを見た事がないのだ。忍術と罠(トラップ)が闘いの大部分を占める忍の世界には到底無縁の代物。よって銃を武器だとは思っていないようだ。多少なりの危機感は感じているようだが…。
「…何を聞きたい?
正体?目的?利か害か…か?」
「無論…全てだ」
だよなぁ。と心底面倒くさそうに自分の頭をガリガリ掻く。
信じるか疑うかはアンタ等の自由だけど──。一旦言葉を切る千薙。それから本題を話そうとした矢先、ドタバタと騒がしい足音が聞こえてきた。その音はだんだんとこちらに近づいてくる。
…会話の邪魔をされるまで、あと数秒後。
,
最初のコメントを投稿しよう!