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「今回は単独任務じゃ。気を引き締めて行くようにの…紫昏」
確か、三代目がそんな事を言っていた気がする。いつもは総隊長や副隊長と三人一組(スリーマンセル)で任務をこなしていたのだが、今回だけは二人とも別任務が入り珍しく俺一人に任されたのだ。
仕事の進み具合は常状だった。
同じパターンでかかってきた敵を早々と片した後、これ気ぃ引き締めなくても良いんじゃね?と余裕な面持ちで本来の目的である大将の元へ足を運んだ。
堂々と…そりゃもう堂々と気配がある扉を足蹴にぶち壊した時だ。人の悲鳴が聞こえ、憎たらしい面をした獲物が見えたのを最後に、突然白く塗られた視界。何が起こったか思考の整理が出来ぬまま冒頭に戻る…と言うザッとこんな感じだ。
「…って、内容的に俺が悪ぃみたいじゃねーか」
いや確かに調子にノった俺が悪いんだろう。が、絶対認めねぇ。認めてなんかやるもんか。とかなんとかグチっているうちにあっという間に森から出る事ができた。さすが俺!と自画自賛してる自分に痛いとか思った奴…今すぐ森に飛び込んで帰って来れてみろ。同じ事思うから。
「!」
森の外には町があった。それほど大きくないと思われる町。しかし木ノ葉ではないのは一目瞭然で、任務であちこち行く俺でさえ見たことがない建物の造りだ。町中は人々が行き交いなかなか活気のある場所ながら、どこかピリピリとした緊迫感が漂っている。
「聞いたか…まただそうだぞ」
「ああ。今回で5人目か」
「(……?)」
「大丈夫だろ。なんたって三蔵様が来ているんだ。あの方がきっと妖怪を退治なさってくれるさ!」
途中、男達が集まって会話をしているのが見えた。なんのこっちゃ分からない単語ばかりが耳を掠め思わず目を細める。因みに盗み聞きじゃねーよ?普通に聞こえんだよ。声がデカくて。
そして好奇心旺盛っていうのは俺みたいな奴だ。引っ掛かる単語が気になり、尋ねようとした時だった。
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